建物概要
名称 :TOYAMAキラリ
所在 :富山県富山市西町5番1号
用途 :図書館、美術館、銀行、店舗
竣工 :2015年5月9日
(開館:2015年8月22日)
設計者:アール・アイ・エー、
隈研吾 建築都市設計事務所、
三四五建築研究所 共同企業体
延べ床:26,792.82㎡
階数 :地上10階、地下1階
TOYAMAキラリを見学しました。
富山市街の立地で「JR富山駅」から富山地方鉄道で1本とアクセスは良好。
市内線「グランドプラザ前」から徒歩2分、2系統「西町」から徒歩1分。
建物構成
B1F 駐車場
1F エントランス、富山第一銀行 営業店舗
2-6F 富山市立図書館、富山市ガラス美術館
7-10F 富山第一銀行 オフィス
無彩色の近未来的な外観、木材の温かみを感じさせる内観と正反対の要素を持ちますが、長尺材が共通性を感じさせるデザインでした。内部はスパイラルボイドと呼ばれる偏心した吹き抜け空間が魅力的です。
まずは外観から見学。
外観
外観は御影石、アルミ、ガラスで構成。
御影石とアルミを使い分けることで、無彩色ですが色合いが単調とならず表情豊かな外観に。
御影石やアルミは異なった角度で取り付けられており、光の反射具合によって更に豊かな表情を見せます。
このランダム性は、どうやって決定するのか設計者の頭の中を覗いてみたい。
“御影石とアルミの使い分け””材料の幅””材料の角度”といった要素を見事に取りまとめています。
遠くからは長尺材に見えましたが、近くで見上げるとタイルを張り合わせていました。
建物の入口には”キラリ”の腰掛。”リ”の一部は掲示板。
内装
建物内の印象は”木”。
内装は木の吊り天井、壁も木のルーバー。
木の吊り天井は伊藤豊雄さんの、”ぎふメディアコスモス”や”信毎メディアガーデン”でも見られた要素です。
エントランスホールの正面は、鏡に木ルーバーが取り付けられています。実際の使用量よりも木材が多く感じられました。
壁の木ルーバーは、外壁の御影石やアルミと同じくランダム角度。
スパイラルボイドと呼ばれる吹抜け空間。
下から見上げると吹抜けが軸ずれしている様子が、よくわかります。
吹き抜けの頂上はトップライト。
どの角度から見上げても美しい。
スパイラルボイドを挟んで南側(写真左側)が富山市ガラス美術館の展示室。
スパイラルボイドの北側(写真奥)が富山市立図書館。
図書館は吹き抜け空間と一体となっています。
本棚やカウンターも木で統一。
外装材の御影石やアルミとの関係で、窓の幅が場所により異なります。
パイプでデザインされたサイン。
“TOYAMAキラリ”のオリジナルフォントです。
内装各部
天井材の取付状況。
天井からCチャン(C型の鋼材)を吊って、更にCチャンから寸切りで金物を吊って、金物と木ルーバーをビス止めしています。
下から見上げると木ルーバーはランダム角度かと思いましたが、取付金物は角度固定です。右下がり、左下がりの2パターンの繰り返しでランダム性を出しているようです。
【/ \ / \ / \ / 】ではなく、【/ \ \ / \ / / 】のイメージ。
吹抜けに面して設置された垂直ルーバー。
Cチャン(C型の鋼材)にC型の金物を組み合わせて取付。これならランダムに角度設定ができそうです。
よく見ると木ルーバーは端材で長さ調節されている部分も。
シャッターが下りる部分は、木ルーバーに隙間が空けられています。
鏡張りの柱に取り付けられた館内マップ。
右端部分が柱から飛び出していて、設計者の遊び心を感じます。
飛び出した部分を反対から見た様子。
“ロケットと乗り込んだ従業員たち”のよう。
設計者の遊び心なのか、私の感受性が豊かすぎるのか。
設備
緑で囲んだ部分は放水型スプリンクラーヘッド。
天井が高い吹抜け空間などで使用されます。
以前に見学した”神戸ファッションマート”では放水銃システムが採用されていました。放水型スプリンクラーは固定式で、放水銃のように方向転換はしません。
放水銃システムの方が大規模空間向けです。
放水型スプリンクラー設備現地操作盤。
誤発報時の停止操作や手動放水に利用されます。
天井内の設備は”白”で塗装されていました。
この写真だけでも、空調機、吸込み口、吹出し口、ダクト、冷媒配管、スプリンクラー配管、設備用の吊り材などが白色に。
建物の裏手は太陽光パネルと緑化パネル。
発電量が多くとれる(隣の建物に太陽光が遮られない)上部は太陽光パネル中心に配置。下部は緑化パネル。
緑化パネル背面に配された給水配管。
エレベーターホールには見える化モニター。(太陽光発電設備の発電量を表示)
他
最後に写真を何枚か貼って終わりにしたいと思います。
美術館の展示品は撮影OKですが、ブログなどの掲載はNGでした。
“繊細なもの””大胆なもの””こんなものがガラスで”といった驚くような作品も見られました。
みなさんもぜひ訪れてみてください。それでは。。
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